&green CALENDAR 8月

やっぱりその時期に食べるから旨い。 新井果樹園 新井宏昭さん(北本市) 

“旬” 

今や、スーパーに行けば、ほとんどの食材は一年を通していつでも手に取ることが出来る。

それだけに、そもそも一体いつが旬なのかを忘れてしまいがちだ。
しかし、北本のまちでは暮らしの隣で多くの農産物が作られている。
毎年訪れる旬を知り味わうことは、北本暮らしの大きな楽しみとなる。
今回はまさに旬の担い手である、梨農家の新井果樹園さんにお話を聞いた。

自然のものとのバランス。

「暑い時期とかはカラスは真っ暗な状態じゃないと活動しないとか言うんですけど、普通に飛んでるんですよね」 

挨拶も早々に、果樹園に向かう道中、そんな話題から始まった。
敵は世界を席巻するコロナではなく、カラスのようだ。
足元を見るとカラスに弄ばれたらしき無残な梨の姿もちらほら転がっている。
木々やちいさな森に囲まれているせいもあるのかもしれない。

「メリットが多いから、ネットはかけた方がいいんですけどね。でも熱が籠ったり、風の通りが多少悪くなるんで、ダニが発生しやすくなっ たりするんですよね。ないと害虫が入ってきたりはするんですけど」 

害虫に対しては、コンフューザーという交信かく乱剤を利用している。
フェロモンを発生させることで、害虫の繁殖を抑えるものだ。
1つの農家だけで利用していても、他で繁殖した害虫が影響を及ぼすため、北本市梨組合の全農家で取り組むことで、害虫の繁殖を防いでいる。

「手をかけるところと自然に任せるところ。そこのバランスがとても大事だと思っています。化学肥料も大きくするためには必要かもしれないですけど、草を刈って、それを置いておくことによって、普通の自然のものがそのまま肥料になってくれるんで、うちはなるべくそうしています。でも草がぼうぼうで新井さん、梨やめたのかと思っちゃったよっていうくらいになっちゃうときもあるんですけどね」 

お客さんのおいしい。 

新井果樹園は 50 年以上続く梨農家ながら、今回お話しを伺った3代目の宏昭さんは、自分の意志で家業を継いだという。 

「子供のころ、梨を市場に出荷するのと並行して、家で直売所を始めたんです。そしたら、お客さんがおいしい、おいしいって言って梨を買いにきてくれるんですね。そういう姿を見てて、 少しずつ興味が沸き始めたんですよね」    

農家を継がずに就職をしたものの、ちょうどそのタイミングでお父さんが亡くなったこともあり、週末は家の手伝いをするようになった。 

「母は不器用なところもあるんで、自分が入ったらもうちょっとうまくやれるかなって思っていたんですけど、なかなか会社を辞められなくて」 

ようやく辞められたのが39歳の頃。そこから農家をはじめて9年になる。

「だからどうしてもベテランの人に比べると時間がかかっちゃうんですよね」 

年間のスケジュールも一般の梨農家よりも長く、剪定を 12 月頭から剪定を始め、4月の花粉 付けに間に合わせるようにしている。 

大きくなる理由。 

しかしベテランではないからこそ、この9年間で、宏昭さんは そのブランクを埋めるべく努力し、作る梨の品種を増やしてきた。 

「幸水(こうすい)、彩玉(さいぎょく)、豊水(ほうすい)、 新高(にいたか)、秋月(あきづき)、にっこり、新興(しんこう)、甘太(かんた)、豊華(ゆたか)、南水(なんすい)、長 十郎(ちょうじゅうろう)の 11 種ですね」 

多い。むしろわたしは、こうして取材をするまで、梨にこんなに品種があることすら知らなかった。 

「一番特徴があるのは彩玉(さいぎょく)かもしれないですね。 お尻がぼこって出ててるんですよ」 

まるで我が子の話をするように、嬉しそうに話す宏昭さんは、 中でも彩玉(さいぎょく)が一番好きだという。 

「酸味もあるし、甘さもあって、食べていておいしいんですよね。だからやっぱりこれを食べて欲し い」 

彩玉(さいぎょく)は生産が埼玉県内に限定された、県のオリジナル品種。
時期は人気の高い幸水(こうすい)と豊水(ほうす い)の間の短い時期に限られることもあり、生産している農家も決して多くはない。 

「あと、でっかくなるのが特徴ですね。小さ過ぎると味がのって来ないんで。やっぱり大きくなるにはそれなりの理由があります」 

そのための手間は怠らない。先にも書いたが、草が伸びる と分かっていても、除草剤は使わない。 

「ちいさい頃、他の梨農家さんに言われたことがあるんですよ。ここは土がいいって。だから甘いのができるんだよねって」 

肥料を使わずとも、自然に生えた草が梅雨時期の余分な水を吸収し、雨のない日には水分を地下から吸い上げる役割を果たしてくれる。
もちろん伸び過ぎた草は刈れば肥料の代わりにもなる。
一見、面倒そうに見えて、むしろ合理的な自然との付き合い方なのかもしれない。 

「確かに 肥料を使えば甘くなったり、より大きくなったりする可能性はあるかもしれないけど、それをしなくてもいいんだっていうのが、逆にこだわりかもしれないですね」

こだわりを聞くとそんな言葉が返って来た。 

自然に任せる。 

そんな当たり前のことを、人は便利さを求めるあまり、難しくして来てしまった。
でもほんのちょっと立ち止まって、今一度、 そこに立ち返ってみてもいいのかもしれない。
少なくとも新井農園さんの梨を食べるときぐらいは。 

文 江崎成哉

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新井果樹園
住所 / 〒364-0034 埼玉県北本市高尾8-30
電話 / 048-592-5937
営業時間 / 8:30 – 17:00 ( 農産物がある時期のみ営業)
農 産 物 / 筍 (4 月 -5 月頃) , プラム・梅 ( 7 月頃) ,梨 (8 月- 10 月頃) , 栗 (9 月- 10 月頃) ,キウイフルーツ(10 月頃)
※季節によって収穫の時期が前後しますので、お越しの際はお電話にてご確認下さい。

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===&green CAFE 「北本の旬を美味しく食べる」===

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北本の豊富な野菜と果物の旬の魅力を存分に。

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