『&green COLUMN』は

旬の野菜を作る農家さんに直接お会いして、お話を伺い、農家さんの暮らしぶりやこだわり

野菜に込める熱い情熱などを、少しずつ紹介していく、連載コラムです。

2回目となる今号は北本市で養蜂を営まれる「根津ぶんぶーん農園」さんを取材させて頂きました。

&greenCOLUMN vol.2 「きたもとのハチミツ、あるんです」 根津ぶんぶーん農園

「北本でハチミツをやっている人が実はいるんですよ」

北本市職員の農業担当の方から、そう電話をもらったのは約半年前。

その時は観光協会のイベントに出て下さる農家さんを探していて、

市の担当者に「そういえばハチミツやっている人はいないよね?」と冗談半分で聞いた時でした。

いるのであればぜひ会って取材させて頂きたい。

早速ご紹介いただき、取材を申し込んだのだが、残念ながらその時はハチミツをとる時期ではなかったので時期を改め、

それから半年後の6月8日10時にお会いする機会を頂いて、丁度ハチミツを搾っている場所へお邪魔した。

「鉄塔の下でやっているからいつでも来ていいですよ。黒い服は着てこないで下さいね。蜂に狙われますから。」

取材を申し込んだときに、お電話でそう明るく答えて下さったのが「根津ぶんぶーん農園」の根津芳文さん。

伺うと、丁度ハチミツを搾る下準備をしていた。

いつもはご夫婦で養蜂をやられているという根津さん。

この日、奥さんは用事で外出していて、息子さんが一緒に作業を手伝われていた。

「先月は雨が多かったでしょ。今年のハチミツは貴重だよ。」

5月の長雨の関係で蜜源となる花があまり咲かずに、今年のハチミツは例年に比べると不作らしい。

テーブルの上には大きなはちみつ搾り機。テレビでは見たことがあったが実物を見ると結構大きく、高さは約70㎝程。

ハチミツ搾り機の中に板(巣枠)を入れ、ハンドルを使いガランガランと手動で板を回転させると、遠心力で板の中のハチミツが搾り機の中にたまり、底の穴からトロリと出てくる。

最盛期には板1枚から1升(約1.8㎏)ほど搾れるそうだ。

根津さんが養蜂を始めたのは、今から約40年前。

根津さんの長女が生まれた年、群馬にある奥さんの実家に行った際、庭にある林檎の木にたくさんの蜂がたかって巣をつくっていた。

元々食べることや動植物を育てることに興味があった根津さんは、「飼ってみるか」と、その蜂を駆除せず箱に移し飼育し始めた。それが養蜂を始めるきっかけだったという。

今ではお孫さんが6人もいるそうで(奥さんは実はこの取材の日、出産を終えた娘さんのところへお手伝いに出かけていた)、根津さんの畑の巣箱も8つまで増えた。

蜂蜜だけでなく、季節によっては2種類の大豆からつくる自家製のお味噌なども販売しており、とても評判がいいそうだ。

「せっかくだから巣箱見てみる?」

おもむろに車からネット付きの帽子をいくつか出してきて貸してくれた。

8つの巣箱のそれぞれに、蜜蜂がハチミツをためる巣枠が10枚ずつ入っている。

畑の中を進んで巣箱に近づくにつれ、ブンブンブンとすごい数の羽音が鳴っている。(正直かなり怖かった)

根津さんの右手には、煙が出る噴霧器が握られている。

シューとその煙を巣箱にかけ、巣箱の上の蓋をあける。(煙をかけると蜂は山火事だと勘違いして花粉や蜜を食べおとなしくなるそうだ)

この噴霧器の中には近所の農家さんから毎年頂く籾殻が入っているそうで、その籾殻は蜂を越冬させるのにも活躍しているそうだ。

巣箱の中から静かに巣枠を出し「バサッ」とふって蜂を振るい落とす。

巣枠の中には蜂が蜜をためたり、子供を育てるための小さな部屋がいくつも連なっている。

その巣部屋から蜂の幼虫をつまみ出して注意深く観察していく。

「ここ見える?この赤いのがダニなんだけどこれが曲者なのよ。増えると蜂が全滅しちゃう。」

根津さんのハチミツへのこだわり。その一つがこのダニへの対処方法だ。

セイヨウミツバチの天敵であるこの赤い小さなダニ。(1‣2㎜ほどでミツバチヘギイタダニと言う)

一般的な養蜂では、春から秋にかけての数カ月間採蜜を行うため、ダニの繁殖を抑制するため、年に4-6回程度、巣箱への消毒を行うという。

対照的に根津さんは採取量が最も多くなる5月と6月の2カ月しか採蜜しない。このやり方だと、秋と12月の年2回、一般的な養蜂と比べて半分以下の消毒回数になるため、蜂に無理な負担をかけずに済む。12月の消毒の時期から約半年間はしっかりと管理を行い、消毒からなるべく時間をあけてハチミツを搾るという、サイクルだ。

「せっかく地元でやっているんだから、出来るだけ新鮮で安心なハチミツを届けたい」

根津さんのもう一つのこだわり。それはハチミツ本来の味にある。

取材の途中に搾りたてのハチミツをその場で味見させてもらった。

「多分普段食べているのと全然違うと思うよ。ハチミツも鮮度があるからね。」

搾りたてのハチミツは初めての経験。搾り機の脇にたまったハチミツを舐めてみる。

今まで感じたことのない独特の香りが口いっぱいに広がっていく。

「花の花粉の香りがするでしょ?これが搾りたての美味しさ。」

なるほど。そう根津さんがいう通り、口に含んだ時に花粉の香りがダイレクトに伝わってくる。

新鮮なハチミツは、採蜜時期が半月違っただけでも、香りだけでなく、味の印象が全然変わってくるというから驚きだ。蜜蜂が採蜜してくる花の種類によって変化するのだという。

ちなみにこの取材の日(2020年6月8日)に搾ったハチミツは、5月下旬のものに比べて、蜜源に栗の花なども入っており、濃厚でコクのある味わいに仕上がっているそうだ。

&greenCAFEで販売中。ぜひご試食を。)

海外産のハチミツは、採蜜してからドラム缶などに保存して、数年かけて商品となる事が多いため、ここまでダイレクトに味の変化を楽しむことは難しい。

根津さんのハチミツは搾った時期で瓶の包装が違う(リボンの色が違います)

「本当の新鮮なハチミツの味を知っているから、いい状態のものを味わってほしい。」という思いから、根津さんのハチミツは毎回売り切れる量だけしか作らないそうだ。

根津さんに長年やられているハチミツづくりの魅力をお聞きした時に、こんな答えが返ってきた。

「結構食べるものが好きなんだよね。野菜の無農薬や自然栽培にも興味があって、自分でやってみれば

その難しさもよくわかる。ハチミツも自分で作れば薬が少なくて自分で食べたいものができる。」

自分で納得するものをつくる。その時期で味わいが変化する旬のものを食べる。

北本でこんなに贅沢なハチミツがあるなんて知らなかった。

根津さん取材のご協力ありがとうございました。

根津さんのハチミツは&greenCAFEで販売中。ご試食もできますのでぜひ。

===&green CAFE 「北本の旬を美味しく食べる」===

-季節の自家製ジュースとスイーツのお店-

暮らしの隣に畑があるから、いつでも採れたての野菜が楽しめる。北本ならではの野菜の楽しみ。
北本の豊富な野菜と果物の旬の魅力を存分に。

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http://www.machikan.com/wp-content/uploads/2020/07/2020_0608_nezu029_2-1024x681.jpghttp://www.machikan.com/wp-content/uploads/2020/07/2020_0608_nezu029_2-150x150.jpg北本市観光協会&greenCAFE『&green COLUMN』は 旬の野菜を作る農家さんに直接お会いして、お話を伺い、農家さんの暮らしぶりやこだわり 野菜に込める熱い情熱などを、少しずつ紹介していく、連載コラムです。 2回目となる今号は北本市で養蜂を営まれる「根津ぶんぶーん農園」さんを取材させて頂きました。 &greenCOLUMN vol.2 「きたもとのハチミツ、あるんです」 根津ぶんぶーん農園 「北本でハチミツをやっている人が実はいるんですよ」 北本市職員の農業担当の方から、そう電話をもらったのは約半年前。 その時は観光協会のイベントに出て下さる農家さんを探していて、 市の担当者に「そういえばハチミツやっている人はいないよね?」と冗談半分で聞いた時でした。 いるのであればぜひ会って取材させて頂きたい。 早速ご紹介いただき、取材を申し込んだのだが、残念ながらその時はハチミツをとる時期ではなかったので時期を改め、 それから半年後の6月8日10時にお会いする機会を頂いて、丁度ハチミツを搾っている場所へお邪魔した。 「鉄塔の下でやっているからいつでも来ていいですよ。黒い服は着てこないで下さいね。蜂に狙われますから。」 取材を申し込んだときに、お電話でそう明るく答えて下さったのが「根津ぶんぶーん農園」の根津芳文さん。 伺うと、丁度ハチミツを搾る下準備をしていた。 いつもはご夫婦で養蜂をやられているという根津さん。 この日、奥さんは用事で外出していて、息子さんが一緒に作業を手伝われていた。 「先月は雨が多かったでしょ。今年のハチミツは貴重だよ。」 5月の長雨の関係で蜜源となる花があまり咲かずに、今年のハチミツは例年に比べると不作らしい。 テーブルの上には大きなはちみつ搾り機。テレビでは見たことがあったが実物を見ると結構大きく、高さは約70㎝程。 ハチミツ搾り機の中に板(巣枠)を入れ、ハンドルを使いガランガランと手動で板を回転させると、遠心力で板の中のハチミツが搾り機の中にたまり、底の穴からトロリと出てくる。 最盛期には板1枚から1升(約1.8㎏)ほど搾れるそうだ。 根津さんが養蜂を始めたのは、今から約40年前。 根津さんの長女が生まれた年、群馬にある奥さんの実家に行った際、庭にある林檎の木にたくさんの蜂がたかって巣をつくっていた。 元々食べることや動植物を育てることに興味があった根津さんは、「飼ってみるか」と、その蜂を駆除せず箱に移し飼育し始めた。それが養蜂を始めるきっかけだったという。 今ではお孫さんが6人もいるそうで(奥さんは実はこの取材の日、出産を終えた娘さんのところへお手伝いに出かけていた)、根津さんの畑の巣箱も8つまで増えた。 蜂蜜だけでなく、季節によっては2種類の大豆からつくる自家製のお味噌なども販売しており、とても評判がいいそうだ。 「せっかくだから巣箱見てみる?」 おもむろに車からネット付きの帽子をいくつか出してきて貸してくれた。 8つの巣箱のそれぞれに、蜜蜂がハチミツをためる巣枠が10枚ずつ入っている。 畑の中を進んで巣箱に近づくにつれ、ブンブンブンとすごい数の羽音が鳴っている。(正直かなり怖かった) 根津さんの右手には、煙が出る噴霧器が握られている。 シューとその煙を巣箱にかけ、巣箱の上の蓋をあける。(煙をかけると蜂は山火事だと勘違いして花粉や蜜を食べおとなしくなるそうだ) この噴霧器の中には近所の農家さんから毎年頂く籾殻が入っているそうで、その籾殻は蜂を越冬させるのにも活躍しているそうだ。 巣箱の中から静かに巣枠を出し「バサッ」とふって蜂を振るい落とす。 巣枠の中には蜂が蜜をためたり、子供を育てるための小さな部屋がいくつも連なっている。 その巣部屋から蜂の幼虫をつまみ出して注意深く観察していく。 「ここ見える?この赤いのがダニなんだけどこれが曲者なのよ。増えると蜂が全滅しちゃう。」 根津さんのハチミツへのこだわり。その一つがこのダニへの対処方法だ。 セイヨウミツバチの天敵であるこの赤い小さなダニ。(1‣2㎜ほどでミツバチヘギイタダニと言う) 一般的な養蜂では、春から秋にかけての数カ月間採蜜を行うため、ダニの繁殖を抑制するため、年に4-6回程度、巣箱への消毒を行うという。 対照的に根津さんは採取量が最も多くなる5月と6月の2カ月しか採蜜しない。このやり方だと、秋と12月の年2回、一般的な養蜂と比べて半分以下の消毒回数になるため、蜂に無理な負担をかけずに済む。12月の消毒の時期から約半年間はしっかりと管理を行い、消毒からなるべく時間をあけてハチミツを搾るという、サイクルだ。 「せっかく地元でやっているんだから、出来るだけ新鮮で安心なハチミツを届けたい」 根津さんのもう一つのこだわり。それはハチミツ本来の味にある。 取材の途中に搾りたてのハチミツをその場で味見させてもらった。 「多分普段食べているのと全然違うと思うよ。ハチミツも鮮度があるからね。」 搾りたてのハチミツは初めての経験。搾り機の脇にたまったハチミツを舐めてみる。 今まで感じたことのない独特の香りが口いっぱいに広がっていく。 「花の花粉の香りがするでしょ?これが搾りたての美味しさ。」 なるほど。そう根津さんがいう通り、口に含んだ時に花粉の香りがダイレクトに伝わってくる。 新鮮なハチミツは、採蜜時期が半月違っただけでも、香りだけでなく、味の印象が全然変わってくるというから驚きだ。蜜蜂が採蜜してくる花の種類によって変化するのだという。 ちなみにこの取材の日(2020年6月8日)に搾ったハチミツは、5月下旬のものに比べて、蜜源に栗の花なども入っており、濃厚でコクのある味わいに仕上がっているそうだ。 (&greenCAFEで販売中。ぜひご試食を。) 海外産のハチミツは、採蜜してからドラム缶などに保存して、数年かけて商品となる事が多いため、ここまでダイレクトに味の変化を楽しむことは難しい。 根津さんのハチミツは搾った時期で瓶の包装が違う(リボンの色が違います) 「本当の新鮮なハチミツの味を知っているから、いい状態のものを味わってほしい。」という思いから、根津さんのハチミツは毎回売り切れる量だけしか作らないそうだ。 根津さんに長年やられているハチミツづくりの魅力をお聞きした時に、こんな答えが返ってきた。 「結構食べるものが好きなんだよね。野菜の無農薬や自然栽培にも興味があって、自分でやってみれば その難しさもよくわかる。ハチミツも自分で作れば薬が少なくて自分で食べたいものができる。」 自分で納得するものをつくる。その時期で味わいが変化する旬のものを食べる。 北本でこんなに贅沢なハチミツがあるなんて知らなかった。 根津さん取材のご協力ありがとうございました。 根津さんのハチミツは&greenCAFEで販売中。ご試食もできますのでぜひ。 ===&green CAFE 「北本の旬を美味しく食べる」=== -季節の自家製ジュースとスイーツのお店- 暮らしの隣に畑があるから、いつでも採れたての野菜が楽しめる。北本ならではの野菜の楽しみ。 北本の豊富な野菜と果物の旬の魅力を存分に。 &green CAFE 月-金 10:00-14:00/土日祝 10:00-16:00 shop/information 10:00-16:00 北本市深井7-265-4/048-591-1473(北本市観光協会)/駐車場80台 CAFE/shop/information 共に水曜日お休み Instagram 旬のお野菜/&green COLUMN/shop news &greenCAFEでは、毎月、北本の旬の野菜とその農家さんの魅力を、カフェメニューやニュースペーパーを通してお伝えしていきます。埼玉県北本市観光協会のウェブサイトです。北本市の観光情報を発信します。